・・・その1 飲料水
       

人体の70%を占める水 毎日平均2リットル飲んでいる水
ミネラルウォーター、アルカリイオン水、浄水器、清水器、活水器、・・・
なぜ今いろいろな水が取り上げられているのでしょうか?
そこで、初回は身近な飲料水について取り上げてみました。


■飲料水
飲むのに適した水のこと。 飲料水に適合する条件は、病原性微生物をまったく含まず、長期
に飲用しても健康に障害となる物質を含まないことですが、さらに外観が清澄で異臭がなくお
いしい味であることも重要な要素です。
水道水・河川水・井戸水・泉水・天水

■ミネラルウォーター
ミネラル(無機質)あるいは炭酸ガスを多く含んだ水のこと。鉱泉水ともいわれています。
ヨーロッパでは健康によいとして鉱泉(温泉)の水を飲用する習慣があり、また一般の水は良
質なものが少ないため、鉱泉水が高く評価され、食卓用に利用されています。
エビアン水・ビシー水・ビッテル水、他

■アルカリイオン水
電気分解によってマイナス極にカルシウムやナトリウムなどのプラスイオンを持つミネラルが
引き寄せられてできた水のこと。水の分子が非常に小さくイオン化された状態なので、体内
細胞への吸収が早いです。

お茶やコーヒーがマイルドで香り高くなったり、お料理が色よく美味しくでき、胃酸をおさえ胃
腸の働きを整えます。また、体内の細胞や遺伝子が酸化することを抑制します。
毎日飲むとアトピーが治るといった事例もあるようです。


■酸性水
電気分解によってプラス極に塩素などのマイナスイオンが引き寄せられてできた水のこと。
お肌を衛生的に整え、洗髪やリンスに使用するとサラサラに仕上がったり、切り花が長持ち
したり、また、食器等の洗浄にも衛生的で、ガラスやメガネの汚れもよく落ちます。

■浄水
清らかな水、飲んで安全な水のこと。さらに、原水(原料となる河川水や地下水)に必要な水
処理操作を加えて清浄な水に加工する過程をも浄水といわれています。
さまざまな浄化器が市販されていますが、浄化能力にばらつきがあります。また、浄化方法
によっては、安全ではあっても、おいしいお水と感じるとはかぎらないようです。

■清水
清らかな水、少し安全な水のこと。

■活水
遠赤外線等で水の分子集団をより小さくし、体内酵素と抗酸化物質の力を低下させない、
界面活性力の高い水のこと。地下深くから湧き出る天然水と同じ働きを持っています。
体内の活性酸素を除去し、体の酸化を防ぎます。また、油に溶け込んだ毒物を溶かして
体外に排出させます。
その他、お茶やコーヒーがマイルドで香り高くなったり、シャンプーや洗剤の使用量が少な
くても汚れが落ち、塩素の弊害を抑えるので肌に優しいです。また、水道管の鉄さびや水
あかの付着を防いだり、取り除いたりします。さらに、植物の葉や花の色が鮮やかになり成
長を促進させます。


■水の味
水の味は、水温・溶存ガス・ミネラル分・臭気、飲む人の生理的条件が関係しています。
   水温: 10〜15℃の範囲が適温とされています。
       舌の感覚を失わう程冷た過ぎず、生温く感じない水です。
溶存ガス: 酸素は多いほど好ましく、炭酸ガスも過度なミネラル分を溶解させなければ、一
       般に多いほうがよいとされています。
       清浄な河川・湖沼水は溶存酸素を十分に含んでおり、一方、地下水では地層中
       の堆積有機物の微生物分解によって生じた炭酸ガスを含んでいる場合が多いで
       す。
ミネラル: 炭酸ガスが溶解するときにカルシウム、マグネシウムが同時に溶解したこれらが
       ミネラル分です。おいしい水はこれらミネラル分を適度に含んでいます。従って硬
       水の方がよいといえますが、溶質成分が多い場合には塩味を感ずるので、蒸発
       残留物が100〜200mg/l の範囲が適しています。
       日本の水道の平均総硬度は約40mg/l (河川・湖沼水を原水とし、ほとんど軟水)
       北米やヨーロッパの主要河川の平均総硬度は150〜170mg/l(CaCO3換算値)
       これは、北アメリカやヨーロッパでは石灰岩地帯を地下水および河川が通過し、
       しかも接触時間が長い(河川が海に到達する日数は,長くて数十日に達する)など
       の原因が関係しているといわれています。ただし,硬度が高過ぎるとセッケンの泡
       立ちが悪くなったり、腎臓障害を起こしてしまうので、硬度を低める処理が重要と
       なっています。
  臭気: 硫化水素を含んだり、鉄、マンガンを溶解している地下水の 腐卵臭や金臭い味
       工場廃水の水源汚染による フェノール臭
       未処理家庭汚水による 洗剤臭
       水源の富栄養化での植物プランクトン異常発生による 青草臭・カビ臭・腐敗臭
       死滅プランクトンを分解する放線菌、細菌の分泌物質による カビ臭・生魚臭・土臭
       新しい水道管での鉄バクテリアの酸化作用による 鉄腐臭
       殺菌の為、浄水過程での塩素や次亜鉛素酸の注入量が多いことによる カルキ臭
       以上の臭気は水のおいしさを損ないます。


■水質基準
WHOでは1984年、従来の水質基準に代えて新しく水質指針を作成しました。
そこでは飲料水の安全判定の目安や処理目標としての基準は、各国がその国内状況(水事
情、社会全体の環境レベル、技術力、経済力など)を考慮して決めるべきであって、指針はそ
のための基礎資料を提供するにすぎないとして、汚染物質別の有害程度、検出限界、感知
限界幅などを細かく記載しています。

日本は〈水道法〉で、病原微生物による汚染を疑わせる物質、有害物、許容量以上の金属類
などを含まないこと異状な臭味、外観、pH を呈しないことなどの要件が定められ、それを受
けて厚生省令で46項目(1997現在)からなる〈水道水の水質基準〉が定められています。
そして水質安全に関する科学的知識の増加、分析技術と水処理技術の進歩、社会的要請
などが勘案され、随時改訂(項目の追加と数値の見直し)の手が加えられています。

また、井戸水などの飲料水についても上記の基準に準ずる基準が設けられています。
@ 物理的性状に関するもの(外観、浮遊物、濁度、色度、臭味、pH)
A 有害物質のうち、検出されてはならない物質(水銀、シアンイオン、有機リン)
   および規定された許容量以下でなければならない物質(フッ素、マンガン、6価クロム、
   亜鉛、銅、鉛、ヒ素、カドミウム)
B 水の有害性とは直接に結びつくことの少ない一般溶質成分(蒸発残留物、カルシウム
   およびマグネシウム、鉄、塩素イオン、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素
   など)については超えないことが望ましい基準と良質な飲料水として判定する基準
C 細菌学的基準(一般細菌および大腸菌群)


■水道水の課題
これまで約150年の浄水技術の進歩により、原水中の懸濁物質(粘土鉱物、プランクトン、
下水性浮遊物、細菌、虫卵、ウイルスなど)と一般的な金属イオン(鉄、マンガンなど)は、
ほぼ完全に除去しうる技術水準に達していますが、溶存物質の除去については十分とは
いえない地域もあるようです。又、浄水場から蛇口に達するまでの給・配水管を通る間に
水質が低下する可能性もあります。

@ 溶存する汚染物(工場廃液や下水の成分、農林地からの農薬類など)を十分に除去
   すること。
A 水中での成分相互の反応による着色物や有害物の生成を回避すること。
   ●殺菌剤の塩素が水中の炭化水素と塩素化反応を起こして種々の有機ハロゲン化
    合物(TOX)を生成してしまいます。代表的なトリハロメタンは発ガン性物質です。
   ※日本では水が蛇口を出るまで殺菌力を持続させるため、0.1mg/l 以上の遊離塩素
    の保持を水道事業者に義務づけています。
   ※フランスでは殺菌(酸化)をオゾンで行い、生成物(アルデヒド類)を活性炭で吸着除
    去し、浄水場を出た後の殺菌力を塩素に保たせる方法が実用されつつあるようです。
   ●水源の地質、ダム貯留や汚染に由来するマンガンが浄水場で十分に除かれていな
    い場合、水道管内で塩素により酸化されて黒褐色の酸化物となり管内壁に蓄積し
    流れ出てきます。
B 異臭味[ ppt(1%の100億分の1)オーダーで存在しても,ほとんどの人が不快を感じる
   臭さ]の無い水にすること。
   異臭味の原因:: プランクトンによるもの
              ある種の工場排水成分が塩素と反応したもの
C 配管の内壁、継ぎ目からの金属などの溶出物(鉄さび、鉛等)を除去すること。
   ●浄水場から各家庭の敷地までの配管に、まだ鉛管が使用されている区間が残って
    います。宅内(各家庭の敷地)の配管は20数年前頃から硬質塩化ビニル鋼管(VLP)
    や耐衝撃性硬質塩化ビニル鋼管(HIVP)等といった内部がビニールで内貼されてい
    るものが使用されるようになりました。が、継ぎ目の施工不良等で鉄さびが出てしま
    うこともあるようです。